在欧17年に渡るプランナーによる文化理解のための考え方を示した意欲的な著書です。著者の欧州でのビジネス現場の経験を経た本物の厳しいコミュニケーションの中から、欧州と日本を中心とした奥深い文化比較が行われています。
欧州のデザインに現れる隠された文脈、歴史に裏打ちされた考え方、それらを観察する著者の視線は冷静ですが、深く熱いものを感じます。
デザインの表層に現れるモノの背景には、そのデザインが生み出される国や地域の建築や日々の生活などに代表される様々な生活様式、ハイカルチャーからサブカルチャーまで諸々が文化、文脈として流れていると著者は説いています。
不肖の持論ですが、このブログのテーマである「ユーザビリティ」や「使いやすさ」はまさに文脈・コンテキストの問題で、それは突き詰めていくと暗黙知の集合体であり、まさに文化の問題であろうと常々思っています。
この考えを再認識させてもらった書籍の1冊がこの『ヨーロッパの目 日本の目』でした。
文化差が生じないレベルでの「使いやすさ」とは、誰の目にも明らかで、検証、改善も比較的容易です。本当に難しいのは、文化差の生じない一定レベルの「使いやすさ」が解決されたあとの品質、満足感をいかに高めていくかという課題です。
使いにくさまで至らなくても何気なく感じる違和感。この違和感がどこからくるか、何を表しているのか、文化というキーワードを通して、今後も研究テーマとして追求していきたいと思います。
『ヨーロッパの目 日本の目』
安西 洋之 (著)

コメント (1)
さりげなく、読んでみたい本ですね。自身を表明しつくさな
い著者の文化の背景、日本人の精神性、を感じたいですね。
そう思わせてしまうこと自体、もう彼の技の世界にはいって
しまっているのかもしれません。
投稿者: Fukuhisa Tatsuya | 2008年12月 5日 21:55
日時: 2008年12月 5日 21:55