書店の店頭では、地味な装丁で目立たないのですが、カルチュラル・マーケティングというコピーに惹かれふと手に取りました。
大手広告代理店ご出身の著者による、マーケティングの現場に密着した視点と俯瞰した視点の双方により、日本文化を深く考察された味わい深い論考です。
モノやコトの表面的現象とその本質に隠されたもの、日本と諸外国の違いまで、重層的な構成を経て、全体を読み終えた後に、ようやく『文化の力』というタイトルが示す意味が浮かび上がってきます。
広告会社で長年実務に関わってこられたプロフェッショナルであるからこそ、いまの消費社会のどこに「力」が潜んでいるのかがよく見えるのだと思います。通読後の印象はアカデミックな文化論ですが、それぞれの論点の根拠となる細部を見る目は幅広く、かつ鋭いことに驚きます。
デザインの実務に関わる方、ユーザビリティの研究者にもぜひご一読をお勧めします。使いやすいとは、その時代、その地域の文化に依存した問題なのです。
『文化の力 ~カルチュラル・マーケティングの方法~』
青木 貞茂 (著)
